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じょぶろぐ

【大阪市】2間間口×超狭小地×スキップフロア

こんにちは。

大阪で注文住宅を建てる工務店、株式会社じょぶ企画営業室の山本です!

先日、過去の建築実績を振り返る機会がありました。

じょぶは東大阪に本社を構えておりますが、
大阪府下は全域、奈良県や兵庫県や京都府でも注文住宅を建てており、
大規模建築物から超狭小住宅まで、建築家との家づくりを合わせると
じょぶの建築実績は約600件もありました!

その中で、今回は建築条件が厳しかったなぁと感じた建築事例をご紹介します。

ご家族4人でお住まいのM様邸。初回は、奥様のみのご来社でした。
Q「土地が11.29坪でも対応できますか?」
A「はいもちろんです。・・・どうされましたか?」


こちらがご計画地ですが、どうもハウスメーカーさんは全滅で、
工務店でも難しいと断られた内容だとか・・・。

 

【M様邸のご計画地】
●敷地面積:37.34㎡(11.29坪)
●敷地形状:幅4.25m×奥行8.8m
●道路幅員:南4.0m
●地域地区:商業地域/防火地域
●建ぺい率:80%
●容積率:240%

上記を少し詳しくご説明しますと、今回の計画地で指定されている「防火地域」とは、
都市計画法が定める「地域地区」の一つです。
もう一つ「準防火地域」がありますが、いずれにせよ市街地における火災の危険を防除するために

構造や資材に対して、厳しく制限されている地域となります。

ご参考までに、大阪市内などの密集した地域は、殆ど「準防火地域」に指定されており、

さらに、市街地の中心部や幹線道路沿いは「防火地域」に指定されています。

今回の計画地は「防火地域」です。
この「防火地域」では、3階建て以上または延べ床面積が100㎡を越える建物は、
耐火建築物としなければならないため、主要構造部が耐火構造であることが求められます。
その為、鉄骨や鉄筋コンクリート造で建築することが多く、建築コストは、
一般の木造と比較するまでもなく高額となる・・・・という地域です。

ちなみに、SE構法は木造ですが、耐火建築物にすることは可能です。
耐火性能を取りつつ、鉄骨や鉄筋コンクリート造に比べて、コストを抑えることが出来るメリットも有ります。
ただ、少なからずコストに影響することは確実で、コストバランスが超重要となります。

そして、ヒヤリング当日。
まずは法的なことからご説明をさせていただき、かれこれ3時間くらいでしょうか、
お話を伺い、早々に死守したい点を纏め上げました。

 

【死守したいこと】
①とにかく明るくて風通しがいいLDK
②収納
③家事導線
④コスト
⑤子供が楽しくなるスペース

整理をすると、ご要望のどこにも「広さ」というキーワードは無く、
11.29坪という限られた計画地で、建物の大きさに捉われず、
いかに快適に楽しく暮らせるかがポイントとなります。

ここから、事前に現地確認を行っていた土地の環境を基に、

パッシブデザインの基本計画を考えます。

パッシブデザインとは・・・。
エアコンなどの機械の力をできるだけ使わず、太陽の光、熱、風など「自然の力」を
受動的に取り入れて室内環境を快適な状態に保つデザイン手法のこと。
光の角度やその地域の風の流れに加えて、隣家の配置状況などの環境を読み解き
平面上ではなく、立体的に建物の計画を行うことで、この土地の自然エネルギーを

最大限に引き出すことが可能となります。

パッシブデザインは主に5つのポイントがあります。

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《自然風の利用》
卓越風とは、その土地において、最も頻繁に吹いてくる風向きのことを意味します。

年間の卓越風があるのはもちろん、季節によっても月ごとでも、卓越風は変化します。
この卓越風を設計に取り入れることは、より快適な家をつくることにつながります。
夏期夜間や中間期に外気を取り入れ、室内を涼しく保つ事により、
冷房エネルギーを10~30% 程度削減できます。

《昼光利用》
日中は、自然光によって照明に頼らず快適な明るさを実現させる考え方です。

昼光と言っても、「採光」と「導光」と「日射調整」の3つ考慮する必要があります。
じょぶでは、まずは日射シミュレーションを行い、計画地でどの程度の日射が得られるか
確認をしていきます。

上記2点で、大まかな建物の計画が確立される言っても過言ではありません。

M様邸は、このようなお土地です。

今回のお土地は、2階の南面(道路側)が、ほんの一部だけの時間帯だけしか
採光が望めない場所でした。密集地特有の厳しい条件です。

この条件で、いかに快適な暮らしが出来るか具現化をしていくかが設計の腕の見せ所です。


《日射熱の利用》
窓から、冬の陽射し(日射熱)を上手に取り込むことができれば、
冬の心地よい暖かさを確保することができ、暖房エネルギーは5~40% 程度削減できます。
今回のお土地の環境は、日射を取得することがかなり難しかったこと、
また、今後、近隣に高い建物が建つ可能性も否めませんでした。
その為、今回は天窓(トップライト)をメインに日射熱を取り込む計画にしました。

《日射遮蔽手法》

窓から入る日射をコントロールすることで、夏期において室内に侵入する日射を遮り、
室内を涼しく保つ事が可能となります。また夏期の冷房エネルギーの削減にも繋がります。
今回の天窓(トップライト)には、ブラインドを設けました。
ブラインドも色々な種類がありますが、今回採用したローラータイプのブラインドは
直射光を抑え拡散光に変えてくれる優れものもあります。
これにより明るさを大きく損なわず日射対策が行えます。

《断熱計画》

こちらは、家そのものの建て方や性能の話になります。
断熱材の大切さは言うまでもなく、断熱材以外にも、
屋根や外壁から室内に入る熱を遮ったり、外壁の通気層や換気によって
屋根や外壁から室内に入る熱量を少なくする計画も大切です。

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こうして、建築基準法条件と環境立地条件とお施主様ご要望を基に
ご提案した計画概要は、こちらです。

 

はい!スキップフロアです!!

【スキップフロアをご提案した理由】
〇トップライトの光を下層まで届けることができ、採光確保や風通しも良くなった
〇階が分断されず、空間を広く見せることも出来た
〇中央の階段で区分けされ、それぞれがメリハリのある空間になった
〇大容量の床下収納を設けることが出来た
〇お子様の部屋をリビングと繋げただけでなく雲梯(ウンテイ)を設けたり遊び心のある空間に出来た

実は、ご提出後の反応としては、スキップのある暮らしがあまりピンと来なかった!
でしたが、紆余曲折しつつ一週廻ってスキップフロアのプランに落ち着いたお家です。

 

 

お住まいになられて4年後・・・。
ちょうど先日、OB様とお会いする機会があり、お施主様にズバリお聞きしました。
Q「スキップフロアの暮らしはどうですか?」
A「快適です!。スキップフロアでやんわりと区切られている空間は、
 家族の気配も感じながらも、それぞれのお気に入りの場所で楽しく暮らしています。」
当初、社内でどの様に提案すべきかと何度も話し合いが行われましたが、
こうして4年を経て直接お施主様から頂いた嬉しいお言葉は、じょぶの財産です!